私のナビは日本人的おばさんタイプ
文  高桑春雄
写真 坂本広志

       
 ラリー北海道は、昨年に続き散々な結果であった為、ラリー報告はお休みして、今回は私のコ・ドライバーについて、また外国人コ・ドライバーについて紹介したいと思う。

まず私のコ・ドライバーを紹介しよう。
名  前 Paul Flintoft(ポール フリントフ)
生年月日 1965年4月2日
国  籍 Australia

既  婚

子供2
勤務先 富士通オーストラリアブランチ
システムマネージャー
性  格 几帳面、ラリーオタク、日本的おばさんタイプ











 こんな経歴であるが私と組んで2年になり、私の外国人コ・ドライバーとして3人目である。
コ・ドライバーがオーストラリア人であるがゆえに、当然ペースノートは英語となってしまうが、ラリー中使用する英語はそれほど多い単語ではなく、英語の苦手な私でも十分に対応できる。
外国人とコンビを組んでもラリー中はそれほど問題にならないと断言できる。しかし私の相棒の性格は日本的おばさんタイプなのでとにかくお喋りが大好きで、トランスポート中しきりに話をしている。
調子に乗ってくると早口で半分以上理解できないので無視している。また、最近、日本語を少し覚えたらしく、英語の中に変な日本語入れて話をするので、余計に難解な言葉になってきている。

  お喋り以外に買い物が大好きで、何処に行ってもお店を見つけると何か買い込んでくる。
時にはコーラや、お菓子類、お土産、ラリー北海道のサービスパークでも出展広場で色々買い込んで帰ってきて、それを我々に配って歩くのが大好きである。
  彼は、ラリーの現場に大きな荷物を毎回持ち込んでくる。ラリー道具というものであるが中味を紹介すると、 まず、パソコン、プリンター、ビデオカメラ、CCDカメラ、ビデオウォークマン(レッキ用と本番用)、 デジタルカメラ。
ここまでは日本のコ・ドライバーでも持ち込む人はいると思うが、この先が凄い、レッキに使用するGPSシステム、たくさんのペーパーを製本する為の多穴パンチ器、製本器、ラミネーター、ハンディートランシーバー8台、工具セット(ビデオやGPS設置用)DVD−RWドライブ(ラリー中の車載映像を私にコピーする為)その他多数の備品と当然ながらヘルメットに、レーシングスーツ、ペースノート、これらを大きなトランク2個に分けて詰め込みざっと重量は60kgを超えている。
空港のチェックインカウンターでオーバーウエイトを地上職員の女性から指摘されると「俺はラリーのコ・ドライバーだから荷物は多くてあたりまえだ。」と開き直ってる、すると地上職員は「それは素晴らしい。」とニコッと笑ってOKしてくる。

日本では考えられない光景が目に入ってくる。
今年のラリー北海道では彼は1人で羽田から帯広に入ったのだが、羽田でも地上職員に「ラリーコドライバーだ・・・・」って主張したのかは定かではないがいつもの大きなトランク2個を転がして帯広空港に到着した。
  彼はラリーの現場に来るとまずレッキ・カーへビデオの取付から始まる、CCDカメラ(指カメ)をバックミラーに専用ブラケットで固定、リヤシートに専用BOXに入った録画装置を設置してインターコムのヘッドセットからライン入力へなどなど・・・そしてGPSシステムを設置、不慣れな土地でスムーズにレッキを消化するのに大きな武器であるが、たまに大きなミスコースを招くことも時たま・・・これらはメカニックに任せず必ず自分で行うのが常である。

ホテルではパソコンでレッキスケジュールの作成、プリントアウト、緊急連絡用の電話番号リスト作製などいつでも多忙である、我々は彼のデーターが出揃うまでミーティング(殆どビールを飲んでいる)。
レッキの朝から本番が終わるまで、私の目覚まし時計の役目も果たしてくれる、レッキはもちろんペースノートの作製が主な仕事である。私が1回目のレッキで読み上げたものを、オーストラリア製のペースノートBOOKに製図用のシャープペンであまり綺麗ではない大きな数字やアルファベットを書き込んでいく。

  私が読み上げるのは「3ライト60・クレスト20・4レフト」などコースを単純にコピーしたもので、彼はそれに加えたコーションポイントやジャンプしそうなポイントを加えてペースノートの完成となる。
2回目のレッキで連続して読む場所や、早く読み上げていく所の確認、速い速度でのコーナーの大きさの確認などたくさんの修正箇所に対応してくれる、APRCの場合現在レッキは2回までの為ここで不明な場所や、確認は前記したビデオシステムのお世話になる。どうも私が高いびきで寝ている間に全てのSSをビデオで確認しているようだ。何時寝ているのかさだかではない。

 レッキが終了するとドキュメンテーション、車検、またヘッドクオーターでの情報収集など良く動く。
また、夜になるとパソコンとニラメッコで我々のラリー本番でのタイムスケジュールやサービススケジュール、給油量の指示書などさまざまな資料を作成する。

いよいよラリースタートとなるとパルクフェルメインタイムなどを的確に指示してくる。私はただ彼の言われた通り動くだけで、本当に運転しているだけである。
  タイムコントロール付くとタイヤのエアーチェック、インタークーラー・スプレーの給水をこなし、TCゾーンのオフィシャルとお喋りを開始しに向かってく。
  いよいよSSスタートが近づくと大きな体をバケットシートに押し込み、インカーカメラのリモコンスイッチをON、スタート前の最終チェックやSSの状況を私に伝えてくれる。
SS中のペースノートの読み方は実に落ち着いた声で静かに読んでくれる。また、読み上げるタイミングが速くもなく、遅くもなく絶妙なタイミングで読み上げてくれる。これは長い間ペースノートラリーを経験しているからなのか・・・。
でも、ラリー期間中必ず何度かノートをロストしている。やはり人間なのか必ずミスもある。

SSをゴールするとすぐに水のボトルを私に手渡してくれて、脱いだヘルメットを預かり・・・至れり尽くせりのサポートをしてくれる。トランスポート中は時間の確認以外、燃費計算やサービスへの指示を無線や電話やメールを使いこなしテキパキと出している。彼と組んでから私自身どこを走っているのかまったくわかっていないことが多くなった。
よくメカニック達から次のSSの距離などを聞かれるが「Idon't know.」

  そんな彼だからメカニック達にさまざまなリクエストを出すので、夜のミーティングでメカニックたちとシリアスな状況になることがしばしば起こる。外人は遠慮なく自分の主張を言うのでどうなる事やらと心配するが、皆思う事を言い終わるとケロッとしている。日本人同士のチームであったら、そこでチーム解体していると思う。

 「日本人のコ・ドライバーとの違いは?」とよく聞かれるが大きな違いは無い、しかしラリーのルールなどの理解度やコンペテーター・リレーショナル・オフィサーの使用度が一番異なる部分かなと思う。
また、SS中の安全への配慮(リタイアしている車両を通過する際にOKマークを出していないクルーがいると必ず私に停車を命じる。そしてSSゴールで必ずリタイア車が何処にどのような形で止まっていたと報告する。)
ペースノート読みながら良くそこまで見ていると感心する。
  私はこれからも彼とコンビを組んでいくでしょう。また現地スタッフのチームで海外ラリーに参戦していきたいと思っています。
皆さんももし現場で我々を見かけたら遠慮なく尋ねて来てください。
変なチームですよ!!