待望の初WRC観戦の様子を、レポートと写真を通してお伝えします!


【出発!いざ、パースへ!】
 9月3日(水)快晴。10:10発シンガポール航空SQ−981に間に合わす為、7:00に家を出る。名古屋空港3Fの国際線出発階ロビーへ着くと、まずスーツケースを預け、続いて手荷物検査へ。"一人旅だし、簡単にパスだろう"なんて思っていたのだが、検査する側にしてみれば連れのいない私は自爆テロ、航空機爆破容疑者の仲間入り。カメラバック以外に持っていたフィルムの詰まったカバン、検査員はこれに目を付けて来た。結局カバンの中身を全部トレーにぶちまけ、執拗なチェックを受けて無事通過。

 一人者はターゲットにされやすいようなので、要注意。税関は問題なくパスし、搭乗時刻までノンビリ過ごす。
SQ−981便は予定より30分遅れて出発。15:45にシンガポールはチャンギ空港に到着し、その後SQ−215に乗り換え、パースへ。ここからの機内放送からは日本語が消え、容赦なく英語に。

 23:45に空港へ到着し、ここでも同じく単身の私は不審者につき、税関で人一倍英語の苦手な身に、人の倍ほどの質問をぶつけられる。全て「Yes!」の一言で通し、続く持込品申告も一筋縄ではいかなかったが、何とか抜ける。
4日に日付も変わった頃、パースについに入国〜!



【サービス会場からシェイクダウンテスト見学】

 9月4日(木)。今日から3日間お世話になる坂本カメラマンは、前日の約束通り、6:00に私の宿泊先まで迎えに来てくれた。
ここから1時間半程離れた「Jarrahdale Service Park」へ。「SUBARU RALLY TEAM JAPAN(SRTJ)」の集合写真を便乗して撮らせてもらい、車に戻る。途中、シトロエンのテント前を通りかかると、何と!マタドール・サインツが目の前に!夢中でシャッターを切ると、その隣りにLOEBが並んできた。

 いきなりのゴージャスなショットに、本当にWRCを見に来ちゃったんだなぁという実感が沸いてくる。
プジョーの前では、今度はメディアのインタビューに答える為、テント前まで出てきたBURNSと遭遇。バズーカ望遠レンズで激写すると、異様な視線に気が付いたのか、時々こちらに目を向けてくれる。

 少し離れたシェイクダウン会場の『Langford Park』へ。
日本とは違った、自然そのままといった感じの公園だけれども、奥へ進んでいくと低く嫌でも興奮してきてしまうようなエンジン音が聞こえ始める。

 生ワークスカーが目の前に登場した時の感動といったら、全身がブルブルと震えてきてしまったほどだった。
コーナーのアウト側で写真を撮ったのだけれども、規制のロープ越しでもお馴染みラリー車の跳ね上げるボールベアリングが、下手したら顔に当たるかもしれないとビックリしてしまう程の距離で見学できた。

観光地フリーマントルとスワン川のほとりでパースを満喫】

 坂本カメラマンのご好意で、港町フリーマントルへ連れて行ってもらう。映画のセットかと思うようなお洒落な街並み、続くカフェ。いたるところにある名所旧跡を見た後で、海上を舞うカモメを見ながら美味しいシーフードの食べられるお店、「SAILS」へ。


オーストラリアサイズのシュリンプサラダと、臭みの全くない生牡蠣を堪能しつつ、日本とは確実に時間の流れの違う一時に、何もかも忘れてのんびりしてしまった。
 この後行ったスワン川脇の公園は,光る川を通して対岸にパースの高層ビルが見え、これまたしばらくは口を開けて見入ってしまう景色。
パースは本当に綺麗な町です。


【絶対に見たかったスーパーSS!】

 スッカリ日も沈んでしまった頃、『Gloucester Park』へ向かう。会場周辺ではいたるところで交通整理が、またラリーというお祭り見に、町中から人が集まってくる感じで、こんな大きなイベントとしてラリーが受け入れられていることにカナリ嫉妬してしまう。

ラリー車が2台同時走行という設定は面白く、特にゴール手前のストレート、イン側のカーブとアウト側のカーブを過ぎた2台が直線前で並んでくると、どこのドライバー・チーム関係なく絶叫してしまう。各グループは出走前にコースをパレードし、耐えずDJの実況が入り、SS終了後には笑いが止まらなくなるほどのスケールで花火が打ち上がった。

来年もまた見たい!って思ってしまう程、いつもと違ったシチュエーションが楽しく、たまたま帰国する日に知り合った日本人旅行者の若いカップルが、"「現地に来たら今日は市内でWRCのイベントをやるから見てきたら?」と薦められて見学してきた"と話していたけれども、今までラリーを見たことがなかった人にアピールできるいい機会でもあったのかな?



【LEG1開始。ついにSS観戦へ】


 9月5日(金)は8:19からの「MURRAY NORTH」SS2観戦の為、5:00にホテルを出る。
坂本カメラマン運転するレンタカーで、かなり離れたDwellingup Rally Villageへ向かう。9月のオーストラリアは、冬から春に変わったとはいえ、会場に着いて歩き出すと、ベンチコートを持ってくれば良かったと思うほど寒く、口が回らなくなってくる。

その隣りで平気な顔して半袖で歩き回っている現地人も、いることにはいるけど。スペクテイターエリアに到着し、00カーも過ぎると、上空にはヘリが飛び回り、ギャラリーも増え賑わってくる。

BURNSの乗る1号車は突然にやってきた!坂を駆け下りてくる迫力、目の前で砂埃を上げエンジンを唸らせて通り過ぎるオーラは、さすがWRC!と言う感じで、他の観客に交じって自然に歓声を上げてしまった。ビデオでしか見たことのなかったワークスカーが、本当にすぐ近くを走り抜けていくという興奮に、信じられない思いでいっぱいだった。
SRTJのChris選手・勝田選手、高山短大の遠藤選手、Jim選手を撮った後、次のSSへ移動する。


LEG1:SS5】

 「SAIRLING WEST」は、かなり遠くから向かってくるラリー車の様子を捉えることが出来るばかりでなく、美しい湖畔の脇を走り去っていく後ろ姿を小さくなるまで見送られる素晴らしいロケーションだ。更に感動させられたのはギャラリーステージ前で、彼方に見えていた車が、眼下の道を車種やどこのチームかが何となくわかる程度の大きさまで近付いてきた辺りから、目の前の高さまで一気に崖を駆け上ってくる為、一瞬視界から消える。

次に姿を表した時には、もうとんでもない迫力の大きさになって視野に入ってくる。目の前に現れたラリー車はどれも、本当にカッコ良く、力強く見える。
 この後、今日の最終サービスを見学しに「Jarrahdale Service Park」へ戻る途中、移動するラリー車達とすれ違った。
坂本さんが気を利かせて車を路肩に止めてくれ、写真を撮らせてくれる。目の前を通り過ぎる時に、大きく手を振ると、MAKINENをはじめ気が付いたドライバーが、手を振り返してくれる。こんなことができるのも、本場ならではだな〜と感動。

【サービスパーク】

 SRTJと高山短大の到着を待っている間、ワークステントを見学に行く。
GRONHOLMが帰ってきた。ギャラリーは、観戦可能エリアをお目当てのワークスカー目掛けて走り回る。私もPEUGEOTからSUBARUへ。
多国籍軍男女100m走の集団に負けじとダッシュする。

SOLBERGは車を降りるとすぐに姿を消してしまった。激写失敗。MAKINENは張り込みをしていたので、車外へ顔を出した瞬間を押さえることができた。

そろそろ戻って来た頃かな?と思い、プライベーターエリアへ行くと、そこは想像を超える展開を見せていた。エンジンからは水蒸気が噴き出している中でターボを乗せ替え、足を交換する勝田選手インプレッサの周りを、ディーラーメカニックが忙しく走り回る。

声を掛け合い、ギャラリーが集まってくるほどまでの真剣な思いが伝わってくる高山短大のメカニック。スナップを撮るような感覚で近くへ寄って行き、写真など撮れないような凄まじい気迫がある。無事に作業を終え、万歳をして次の『Gloucester Park』へ送り出す者。
望むところまでの作業ができなかったのか、重い空気の中で競技車を見送った者。華やかでカッコいいラリー車を見る一方で、こんな人間の演じる真剣なドラマが見られるところもラリーを追い続けてしまう要因なのだろう。

 
【LEG2:SS13】

 9月6日(土)。6:45に坂本さんに迎えに来ていただき、高山短大の住奥さんも合流して『MUNDARING RALLY VILLAGE』を目指す。時間が早かったようで、スペクテイターエリアにはまだ誰もいない。バックがスッキリしていて、且つカメラを振れる場所を見付けて落ち着く。
緩い右コーナーとややバンクになっているために、顔を少しこちらへ向けた理想的な絵で進入してくる。それにしても速い!ここもまたコースにとても近い位置で観戦でき、1台通過する毎にオーストラリア台地の砂の洗礼を受ける。


【LEG2:SS16】

 続くステージは変わっていて、道一本挟んでSS16とSS17に分かれる仕組みだ。SS17が終わってからでは最終サービスに間に合わない為、SS16を見ることにする。

競技車がいつ、木立の陰から現れるのかドキドキだけれども、車の接近を知らせるホイッスルの音で、どのSSでもカメラを構え心の準備をすることができる。このSSは茶色いボールベアリングロードの両側を木々が立ち並び、その足元にはソテツ科の植物が生い茂る、とてもオーストラリアらしい雰囲気の中でラリー車を迎えることができた。

このSSが面白くて、次のSS17と隣接している為、先ほど駆け下りて行った車が、どこかを回ってしばらくすると目の前のSS17を遠く掛け上がって行くのが見える。WRCならではの光景でとても面白い。
しかしそんなレイアウトの為、ワークス陣が通り過ぎた後、ほとんどのスペクテイターはお隣りSS17へと流れてしまった。最後には周囲を見廻しても自分一人という状況で、静かに最後の1台を見送ることとなった。


【サービスパーク見納め】

 16:45からの最終サービスへと車を走らせたけれども、SRTJのChris車は既に出てしまった後だった。
勝田選手車は、今日は拍手の中を見送られてスーパーSSへと向かう。高山短大メカニックも手に持った帽子を振り、自分達が整備した車を自信を持って声援と共に送り出す。ワークステントを見に行くと、観客はおらず静まり返り、運動会が終わった後のグラウンドのような、賑やかで華やかだった時間を見ているからこそ余計に目の前の情景が寂しく感じられる。
その光景を見ていると、明日はまだ最終レグを残していはいるけれども、それを見られず帰国しなければいけない自分には嫌でも"WRCも終わっちゃったな"という気分にさせられてきた。


【LEG3からゴール!しかし見ることなく帰国】

 9月6日(日)。パース6日間最終日は、航空機の時間上、今日は全くラリーを見ることができない。
半日しかない為もったいないので、朝5:00に起きて市内へと繰り出す。昨日ホテルまで送ってもらう途中に見た「パース駅」が美しく、見に行くこととする。

LOUIS VUITTONの店だろうが、WRCプログラムに宣伝を出していた、ラリーのビデオや本を扱っているという店だろうが、今日は日曜日につき「CLOSE」もしくは「12:00〜」。このヤル気のなさに乾杯。

 街のところどころで分厚い「SUNDAY版」を売っている。「MYER」デパートまで連絡通路を通り、郵便局らしき建物や、ショッピングモールに囲まれた広場の真ん中にやたらと「Telstra Rally Australia」の旗が立っている。その真ん中で作業をしている車や人が「Telstra」と書かれた台座を設置している時にハッと気が付いた。「ポディウムだ!ここがゴール会場になるんだ!」。そうわかった感動の後、ここで激しいバトルを終えた選手達を迎えられないことが一層寂しく感じられてきた。

 そこからパースの名所、『キングスパーク』まで歩いて行くことにした。途中風が強く、また公園へ続く登り坂は、冗談のような急勾配だったけれども、住宅街を抜けて、視界に眼下に広がるパースの街並みとスワン川、そこから各地へと結ぶハイウェイの3日間の出来事を全て思い出させるような景色が広がっているのを見た時には、もう言葉も何も出なくて、ただひたすら頭に浮かぶ「今回、来て本当に良かった!」という思いを繰り返すだけだった。

 一生に一度は見てみたいなと思っていたWRC、今回は初日から最後までお世話になってしまった坂本カメラマンはもちろん、坂本カメラマンが紹介してくれた知り合い・友達の方々、SRTJの皆さん、高山短大のみなさん、それにSUBARUの関係者の方には本当に良くして頂き、こんなにも充実して満足した数日間を過ごせたのはこうした方々と出会えたお陰だと心から感謝しております。
一度は見てみたいと言っていたものの、逆に一度見てしまうと病み付きになるものが。こうしてまた一層人並みな人生から逸脱していく訳ですが、この調子だとまた来年もどこかの大地で、ラリーカーを前に絶叫している私の姿が目撃されることとなるのでしょう

<最後に・・・>
 全日本ラリーのギャラリーOnlyだった私が、WRCに初観戦し受けたカルチャーショックの数々!
   

・ ビデオで見て知っていたものの、ヘリが頭上を舞い、空中からラリー車を撮るというゴージャスさにビックリ!
・ どのSSにもDJがいて(往年のラリードライバーだったりする)、次に来る選手名等を実況中継してる!
・ 女性も安心!仮説トイレ完備で、しかも男女別!紙も水もあるよ!(切れてたらゴメン)
・ 各SSには案内所があり、エントリーリスト、ごひいきチームのカード、SS場所の地図なんかがもらえる
・ 移動区間の道路の沿道にはオフィシャルの車の脇で紙の束を抱える女性が。 近寄ると終わったばかりのSSのリザルトがもらえるのダ!
SS開始後でも、次の競技車が来るまでの間はコース横断自由!って、もうそこまで車が見えてるのに渡っていいの?でもオフィシャルの指示には従ってネ
・ 自分で持ち込んだゴミはちゃんと持ち帰りましょう。とは言っても数メートル置きにゴミ袋が設置してあった!