本当のラリーファンは、最後まで残ったあなた達です!(ゴール会場で最後の1台まで声援を送ったファン)
手を振るわ、飛び跳ねるわの大変な騒ぎ。 でも、これが普通のラリーファンの反応なのです。(道端でのファン)
これらの人々が支えたラリーでした。

■競技会名称:世界ラリー選手権 第11戦 ■
■開催場所:北海道/帯広・陸別・札内・新得 他■
■観戦日:2004年9月2日(木)〜5日(日)■
■エントリー総数:90台

  2004年9月。今後も続くモータースポーツの歴史の中で、この数字は様々なシーンで人々の口から語られることになろうと思う。
そして記念すべきWRC日本初開催のこの年に、自分がラリーファンでいて、自分の目でその瞬間を見ることができたという事実は、本当にLUCKYなことであったと思う。
各種手配から当日の行動まで面倒見ていただいた坂本カメラマン、そして数日間、私が何の心配なく家を空けられる状況でいてくれた家族、様々な形で関わった方にお礼を言いたい。    Tommy

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【気が付けば当日】
 9月2日(木)晴 とかち帯広空港には「ラリージャパン」の看板・ノボリが目立ち、こんな風にラリーが街に溶け込んでいることに感動。外へ出ると、匂いが漂っていた。牧場というか肥料というか、都市空港では味わえない感慨がある。坂本カメラマンに迎えに来てもらうことになっている。再会してレンタカーデミオへ案内してもらうと、走り出した先は「幸福駅」。何もないところにポツンとある駅だけど、映画に出てくる風景のようで目に残る風景。

【お祭りのようなサービス会場】
 そこから愛国のサービスパークへ移動。会場近くは既にゾロゾロ歩くギャラリーの姿でイッパイ。
今日は平日だよ〜、どこからこんな人が・・・。高山短大のワークショップに顔を出したけれども、お昼休憩で一掃された後だったので、私達も食事へ。帯広市内まで戻ると何とか飲食店が目に付き始め、喫茶店を見付けたので飛び込む。時刻は13:00。入る時にチラッと店名の看板を見やると、『昴』…。これは何かの予言なのか、単なる偶然なのか・・・。
 
ワークショップへ戻ると、写真撮影依頼のあった14:30。坂本カメラマンは積車の荷台に乗り、準備を始める。
全員が車の前に集まったところで撮影。私も隣りで便乗するも、被写体はどのレンズを見ればいいのか困惑した様子。
サービス会場まではここからすぐなので、今から少し中の見学をすることに。ワークスドライバーは帰ってきていなかったけれども、スバルラリーチームジャパンのテントを覗くと、何人かの知った顔。会場を歩いていると昨年オーストラリアでお世話になったダニーさん(今回はスズキのメカニックとして来日)、水野カメラマン、PD編集長、ゼッケンNO.102ヴィッツで出走する友達のCo−Dr.井上嬢とも話をすることができた。

 本日の宿泊先は「帯広ルートイン」。この時期にこんな一等地が取れるなんて奇跡に近い。他の誰に言っても驚かれるのも納得で、HQのとかちプラザは目の前。サービス会場、夜のスーパーSSへも非常にアクセスのいい最高の場所。それを4泊も押さえてくれた坂本さんには大感謝。ホテルにチェックインへ向かい、坂本カメラマンが「とかちプラザ」のメディアセンターで仕事をする間、私もホテル周辺の散策。15:30頃一緒に「とかちプラザ」に入ると、中はオフィシャルグッズのブースが出来ていたり、とかち新聞がその日の新聞を"試読紙"として無料配布していたりとラリー一色のゴキゲンな空間。プログラムを買ったりで一通り見てまわり、外へ出ると奴田原さんと遭遇したので、一枚撮らせてもらう。

 とかちプラザの隣りにある「長崎屋」で買い出しをして帰ろう。ごく普通のスーパーの食料品売り場の天井にまで「歓迎!ラリージャパン」の垂れ幕がしてあるのには嬉しくなってしまう。ホテルに戻ると、しばらくして部屋の外で「すでに外はセレモニアルスタートの場所取りのギャラリーでいっぱいだよ!」という坂本さんの声にビックリ。スタートは19:30。
只今17:30。


【詰めかけた群集は私の想像を超えた・・・】
 外に出ると大きなお祭り会場のような人混み。とてもスタート台を出てくるラリー車を撮れるような場所など空いておらず、ここなら何とか?と思った場所は「JTBプレミアムツアー」御一行様御指定の場所だった。
なんとか柵の最前列で見られる所を見付けて落ち着くことにしたのだが、スタート台を降りて延びる直線の最終地点、信号を左折していくギリギリ手前ぐらいだった。

  スタートゲートのある藤丸デパートはあまりに遠く、VIPが大会挨拶をしたり、ショーをしたりしているらしいけれども、全く見えず。後方に設置された大型スクリーンも背後から押し寄せる人垣で見えず。いつ参加車がスタートするのかわからないまま、19:30頃1号車が紹介されたようだった。プライベーターでも群集はワークス並に歓声を送っていることに感激。特に海外から来た選手だと、その声が一際大きくなっているような気さえする。中にはチームグッズをばらまいていく選手もいて、それがステッカーだろうがTシャツだろうが、手を伸ばして大喜び。

 ワークス勢の登場で周囲の興奮は更に盛り上がりを増し、特に人気のペターは赤信号で捕まったため、何とか触ろうとする観客と体を張って盾となる警備員との攻防には、鬼気迫ったものがあり笑いがこみ上げてくる。セレモニアルスタートが終わって、夜の帯広市内へ。入った居酒屋はジモティー常連客が顔を出すような店だったらしく、アタリ。
ホテルへ戻り、1:30頃就寝。


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 9月3日(金)晴
【ラリージャパンのSSにはどんな景色が広がるのか】
 3:00起き、4:00ホテル発。最初のステージ、陸別のSS4オフロードサーキットを目指す。
辺りはまだ薄暗く、更には数メートル先も見えない濃霧の為、運転は慎重にならざるを得ない。それでも交通量はほとんどとなく、時折追い越していく車はオフィシャルだったり、チームスタッフだったり。陸別の道の駅「オーロラタウン93りくべつ」まで1時間ちょっとで到着、車外へ出ると寒い!

 オフロードサーキットへ車を移して、私を下ろしてくれた坂本カメラマンはSS1の撮影に移動。もうゲートオープン待ちのギャラリーの列が出来ていたので最後尾へ。オフィシャルが融通を利かせてくれて、早朝から押しかけるギャラリーに予定より1時間早めの7:30にゲートを開けてくれた。
入口ではシトロエン・ガールが旗とレジャーシートをセットで配っている。場所取りに走るギャラリーもなく、連なって歩く様子はピクニックのような平和な光景。ゲートから一番近いFエリア(アルプス席)のギャラリーエリアロープ最前線の場所にまだ余裕があるのが見えたので、取れる場所で落ち着いてしまうことにした。
パイプ椅子と今回持参した自作フラッグを設置して、ブースを見に行く。スバルのグッズテントは詰め寄る人で戦場。
8:00オープンとのことで5分前からスタンバっていたのに、開始と同時に"1"の刺繍が入った帽子は即完売。私も店員に声を掛けるタイミングの差でGetできず、チッ。

  その隣りのブースでスバルの旗をもらって、席に戻る。隣りに陣取る集団は、遠くから見てもそこ一体が青く染まったかのよう。外人プレスが面白がって、遠くから「スバル!スバル!」と手を上げるように指示。会場一体となって手を振ると、カメラを回してお礼を言って去って行く。後方にはFORD、デュバルの応援団も来ているようで、バラエティーに富んでいる。9:40に全日本ラリー田口(幸)選手車で藤本選手のドライブする00カー。
1分前にマキネンの乗る0カー登場。ワークスが登場するとまず音の違いにビックリ。1台ゴールする毎に、タイムが読み上げられる。


 

【対向するワークスカーに理性は吹っ飛び・・・】
 同じチケットで午後のSS8も見られるけれども、私は移動開始。夜のスーパーSSへ向けて陸別方面へ戻る感じに。途中、池田に寄りたかったので足寄から高速に乗る。…と、向こうから0カー!ということはこの後にワークス勢が!?
 派手なカラーリングで競技車は遠くからでもスグわかる。遥か手前から窓を開け、スレ違う瞬間には全開で手を振る。ラリーっていう競技は、他のモータースポーツに比べて、こういう瞬間が選手とギャラリーの距離が近いなって思えて嬉しくなってしまう。助手席にいる坂本カメラマンは、蛇行するデミオ、半狂乱になるドライバーに恐怖を覚え両手で天井の吊り革にぶら下がっている。フロントウィンドウにはメディアパスが貼ってあることもあり、最後には耐え切れずバックシートを倒して消えてしまった・・・。

 池田I.C.で降りる時には丁度、奴田原選手と行き違う。選手はここから乗っているのか、降りてもまだラリー車が向かってくる。運転に集中できないのですけど・・・。
R242を左折して、やっとリエゾン区域から脱出。もう目的の「ワイン城」はすぐそこ。着くとまず2Fのレストランへ。とかち平野を一望しつつ、ビーフシチューを堪能する。う〜ん、贅沢な時間!

 

【2千円の差ならスタンド席を買っておくべし】
 ホテルへ一旦戻って、夜のスーパーSSの準備。17:40頃車で会場の河川敷に近付くと、大交通渋滞。近くで下ろしてもらって、会場に入る。あっ、上着を部屋に置いてきてしまった!今更戻れないし仕方がない。今日・明日は立見席しか買っていないので、写真が撮れそうな場所を探して歩き回る。スタンドの周りは、ワークスのショップテントや飲食店等が並んでいる。辺りは薄暗くなってきたので、席に戻ろうとすると、わずかの間に人の数が急増していて、自分が椅子を置いた場所がわからなくなってしまった。

 19:30スタート。ここは00カーからして興奮する。サイレンを鳴らしながらの2台同時スタートに会場は騒然。マキネンVS藤本、ソルベルグVSローブ、新井VS奴田原と、これでもかというような組み合わせが続いてアドレナリンが出た。
 2台同時スタートだから、早く終わるだろうという読みは甘く、どうも足寄周辺で渋滞が起きているらしく競技車がスタートに間に合わなかったりして時間が延びている。上着を忘れて半袖なので、だんだん体が硬直してきた。それでも最終ゼッケンまでは目が離せず、ブルブルしながら最後まで観戦。

 ここの会場を出たのが、21:30過ぎ。近くの警察に渡したところで、携帯と遭遇できた先程の二人が戻ってきた。シャトルバス乗り場へ向かうと、それでもまだ一番列が延びているのは「北愛国行き」。この時間からもサービスを見ようという熱い人達がこんなにもいるのかと驚く。帯広駅行きは、最も列が短く一発でバスに乗車できた。
ホテルで坂本さんと合流できた時には10時過ぎ。夕食を食べに出掛けている時間がない為、コンビニで買い出しして部屋で済ます。でもオニギリにインスタント味噌汁が妙に美味しい。1:00就寝。

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 9月4日(土)快晴
【砂埃を浴びて吸ってこれぞ林道】
 前日に続き、3:00起床の4:00出発。今日の観戦エリア2箇所は、昨日と全く同じパターンの陸別オフロードサーキットと、札内のスーパーSS特設ステージ。
 ホテルを出ると寒く、まだ暗い。前日と同じルートで陸別へ。途中で寄ったコンビニは移動区域に入っており、来店する関係者も多い為に中で観戦グッズや、関連書籍が並べられている。 今日の霧は若干まともで、昨日よりは運転し易く、やや早い6:00に陸別道の駅「りくべつ」到着。
また同じ場所で下ろしてもらい、並んでいる最後尾に着くと、前日に比べだいぶ早い順番待ちのよう。

 8:45に1号車。全日本でもこんな至近距離はないかな?というぐらい、ヘアピンを曲がる車は近くに見えて、車速も落ちるので、遠くで見ていたギャラリーもこのコーナー手前に車が来ると走り寄って来る。NO.8のフォード、デュバルが速い。パフォーマンスも見せてくれた。2分20秒前後のバトルに、通過車のタイムを聞いては驚愕したり、ガッカリしたり。
夏のような日差しを浴びながら、砂利道を下っていると、ズルッと足が滑り転倒した。見る間に右くるぶし周辺が黒く変わって行く。寝不足で体がフラフラしているところに、この暑さでこういう時にケガをしやすいようで、でも足は動くしとりあえずは大丈夫かな。

 車へ戻って、とりあえず道の駅へ移す。そこからは徒歩で近くのソバ屋で昼食。中は想像通りのラリー関係者一色で、備え付けの雑誌に「RALLY−X」が置いてある辺りからして通常とは違う。店へ入ったのが11:10。誰が通訳したのかと興味が湧いてしまうような張り紙には、英語で「30分〜1時間待たせるかも」みたいなことが書いてある。それもそのはず、見回すと食事をしている人がどれだけいるだろう?

【日本の田舎風景に溶け込めきれない移動中のラリーカー】
 中で1時間半ほど濃厚な時間を過ごし、夕方のスーパーSSを目指して札内へ向かう。途中、前方からの0カーに再び、ただのミーハー・スペクテイターモード全開。
コンビニへ車を止めて、沿道に飛び出し、トラックの排気ガスを浴びつつも前方からWRカーが現れることを信じて待つ!場所は接触する機会が増える信号機手前。但し写真の構図関係上、立っているのは反対車線のCo−Dr.側だったけれども。

 13:55、やがてサインツのXsaraが。
豪快に追い越しをして去って行く。あっ、スバルのミッコだ。デュバルは信号で止まったけれどもそっけない。ローブ車も止まったので、手を振りつつ望遠ズームでDr.を激写! (しかし帰ってきてから現像した写真を見たところ、この時のローブは助手席で爆睡中だった為、激写したのはコドラだった・・・)。

  ソルベルグが向こうから走ってきた時には手を振るわ、飛び跳ねるわの大変な騒ぎ。
でも、これが普通のラリーファンの反応なのです。(そうかなぁ??? あんたは特別じゃ〜!)

 ワークス8台の通過を確認し、時間も押していたので札内へ足を進める。やはり足寄の辺は渋滞で、昨日トラクター脇で口を開けて車の列を眺めていた地元のオジサンが、また今日も表へ出ている。

【今宵もただでは終わらないS-SS】
 ホテルで今日は忘れず上着を担いで札内SS20へ。セリカクラブの友達はスタンド席に陣取っているという情報が。
私もスタンド0へ。スタートに一番近い場所。競技時刻前になると、河川敷から続々0カーやワークスが会場入りしてくる様子が、この場所からは見える。…と、突然椅子を立ち、「サインがもらえるかも!」と走り出すメンバー。私も付いて行きかけるが、ゲートはあまりに遠く、途中で挫折してしまった。
席へ戻って0カー対決を見ていると、ワークスが始まる前にようやくメンバー集結。収穫はあったようで、それぞれサインを見せたり、ツーショットを見せたりで、みんなラリーを楽しんでいるなぁとそんな様子を見ているだけで楽しくなってくる。
 ここでのDJも昨日に引き続き。ジャンプを超える度に、「O〜K〜!」。途中で交代したDJもあまり代わらず、「All right!」
夜ということもありブレーキランプが良く見える。コーナー手前のブレーキポイントやドライバーによる違いが判りやすく面白い。

  新井選手はWRカーにも迫るタイム。なぜかカラムジット・シンは、どこのSSでも人気が高い。イグニスのアトキンソンはスタートで出遅れたのもの、最後の追い込みで逆転ゴール。勝田選手はサイドバイサイド、どちらが前へ出るかの絶叫歓声の中、ほんのわずかの差で残念な結果。ダート対決では、荒井さんはガードレールに左リヤをヒットしながらの奮闘。NO.52の鎌田(恭)選手はコーナーでアウトへ膨らんでしまいコースアウトするも、そのままの流れでパイロンの隙間からコースへ復帰、何事もなかったように走り出した為、見ていた私達は爆笑しつつも"おおっ"と感嘆の声を上げた。NO.57はフロントをヒットしそうな勢いでジャンプ。キレた走りでタイムを出すよりも観客を見せる走りに変更したか? 高山短大の遠藤Dr.はジャンプも決まって、圧勝。しかし85号車のマフラー音は何故毎度あんなすさまじい音を立てて登場するのか・・・。No.109の福沢選手はパイロンにヒットしたものの大事には至らず一安心。

  2台同時スタートというのは、エントラントにとっても、スペクテイターにとってもエキサイトしていまうシチュエーションなのか、今回も最後まで目が離せない展開だった。
今日も帰りはシャトルバスで帯広駅へ。バスに乗ると即効で意識を失い、気が付くと帯広駅で排出されていた。ホテルの看板がすぐ近くに見えるほど近いので、向かっていると駅の敷地の芝生の上にいくつもテントが設置してある。ここまでして観に来るラリーファンもいたんだなぁ。

 

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 9月5日(日)快晴
【泣いても笑ってもこれで3日間最後の観戦】
 3:30起き。最後の観戦場所、SS22の新得へ出発。ギャラリーステージの最前列をキープ。左隣りも右隣りもプレスのようなので、絶好の撮影ポイントらしい。スタート直後のストレートから、目の前で左コーナー、そのまま林の中へ入り、もう一度左コーナーを曲がって消えていくまでを見ることができる。今日のスターティングリストを手に入れていなかったので、DJだけが頼りだったのだけど、お姉ちゃんの甲高い声は肝心な部分が聞き取れず、選手名を聞き取ることはあきらめて、バズーカ砲でスタート待ちの車を凝視し、カラーリング・車両から見当を付けるしかない。

 日本人選手の上位陣を見送り、サービスに間に合わなくなってしまいそうだったので、途中でこのSSは切り上げる。帰る途中の市内の様子は、沿道に地元の人から、地方から見に来たギャラリーからがプレートを持ったり、旗を振ったりの歓迎ぶり。
屋台まで登場する騒ぎに驚いてしまう。前を走っているのはサインツ。信号で止まるとワ〜っと運転席に人が駆け寄る。海外でもこんな風かはわからないけれども、ラリー車が迎えられているように思えて、嬉しくなってしまった。

【誰もが真剣だからこそドラマが生まれる】
 9:45頃にサービス到着。ソルベルグのテント前で待つ。やがて戻ってきたペター、車を降りるとまず待機するファンの前へ顔を出し、「オハヨウゴザイマス」と挨拶。ファンを大事にしてくれる性格に、長時間待っていた身としては本当に嬉しい。やがて20分のサービスを追えてまた次のステージへ。プジョーのロバンペラの車がまだ帰ってきていないような気がして、プジョーのテント前でまた張り込み。自分のテント前で待っていてくれるギャラリーのところへは様々なグッズを配りに来る。

  最初はプジョー307のポスター。続いてプジョーシールブック。グロンホルムが出て行ってしまったので、グループNスバル勢のテントを見学に行くと、勝田車がまさに整備中。時間内に終了し、デメカの拍手を浴びて我々の前を去って行く。
知り合いの名古屋スバルのメカニックが、「勝田さん、順位を上げてきているよ」と言うので、大体いまのポジションでゴールかな? 作業を終えたデメカスタッフ達が、一斉に移動するので、何事かと後を付けていくと、まだサービス中の他のチームを囲み、熱心に作業を見守っている。

 目の前にはCUSCO、炭山選手のインプレッサ。そうしてまだ整備中のチームを、他のチームが囲み、更に見守るギャラリーも加わって輪が出来ている。
メーカーも何も関係なく、スバルメカニックが居て、向こう側では三菱のつなぎを着た集団の姿もある。もうあとOUTまで2分を切ったというのに、まだマフラーは地面に転がったまま。アンダーガードを持っている人も。大丈夫かなと見ているこっちまではハラハラしてくる。時間ギリギリでマフラーが装着されて、行ける!と思ったら、まだラジエーターが残っていた。時間オーバーしてしまい、周囲の緊張感も更に上がる。ジャッキダウンした車両を、桜井監督自らがコースまで押し出し、飛び出していくNO.44カー。

 この瞬間、周囲から一斉に湧き上がるような拍手が起きた。見ている誰もが、敵も味方もなく奮闘したメカニックに賞賛を送っている。チームの女性から周囲に「ありがとうございます」の声が掛かる。これ以上見ていると、この場で泣いてしまいそうだったので、人垣を離れ、次の高山短大のサービスを探した。

 こちらはこれまた大変な状況で、午前中の札内スーパーSSでヒットしたらしくフロントの左フェンダーが凹んでいる。高山短大OBの整備をする掛け声が響き、テキパキと作業が進められる。ここでも群集からの拍手が沸きあがった。

 やっと一息入れようかと、会場のコンビニ出店で「カラ揚げくん+ピザまん」を購入し、車へ戻って慌しくLUNCH。早朝というよりは夜中に食べた朝食以降何も食べていなかったので、ジャンクフードだろうが何だろうが異常においしい。
対面で地元警察の車両が待機しており、中から警察管が退屈しのぎに、こちらの昼食風景を観察しているけれども気にしない。やがて車に戻ってきた坂本さんから「ゴール前の場所取りが始まっているよ」と聞いて、椅子を持って私も走る。行ってみたけれども、なんかもうスゴイ人。前列の頭と頭の間からギリギリゴールが狙える場所に椅子を置いて座ってみるも、ここは場所取りをしておいてペターの帰りを待とうとスバルテントへ。

【右手は2度と洗わない?】
 椅子はないので、立ったまま2時間経過。その間、隣りのご夫婦の赤ちゃんにカメラバックの上にヨダレを垂らしていただいたり、髪を引っ張られたりしつつ待っていると、テントの中から"ワ〜っ"という歓声。それを聞いてギャラリーも"ワ〜っ!"。続いて背後のローブのテントから"ワ〜っ"。待っている人垣を見ていると圧倒的にスバル、特にペターの前の層が厚い。真正面は熱心なファンでほとんど青一色。
テントから出てきたスバルガールが旗の配布を始めたので、周囲の青化は一掃進む。私も今日はただの熱狂的ラリーファン。旗を振って待っていると向こうからゆっくりとソルベルグの車が帰還してきた。青いスバルの旗を縫うようにして進んでくるその姿はフィルムの一コマのように脳裏に焼き付くシーンとなり、ピットインして車を降りたペターはスタッフや家族とひとしきり喜びを共有した後、何と自ら柵をどかして待っていたファンの前に駆け寄ってきてくれた。走りながら手を延ばしたファンにタッチして去って行く。
忘れもしない15:05、私も生ペター様を触ってしまった! 後ろから自分も自分と手を延ばすファンで目の前の柵が45°に傾き、あぁこうやって圧死事故って起こるのねなんて冷静に考えながら何とか転倒は免れた。

【感動的なゴールの写真を収めようなどという妄想はあっけなくも崩れ】
 一通りの騒ぎが収まってから、セレモニアル・フィニッシュまであと30分ちょっと。
置いてきた椅子は無事かな〜っと先程の場所に戻ってみると・・・。
 フォーメーションが変わっている〜! 椅子を置いた目の前にあった目印の白いテントなんてどこへやら、それどころかもうどこにゴールがあるのかわからないような人・人・人! ポディユムを降りてからの道幅が細くなる、そのちょうど絞られる辺りに人が集中していて、一番後ろで折り畳み椅子の上に乗っかってセリカクラブのメンバーがプルプルと手を延ばしてカメラを構えているのが見えた。
声を掛けて、椅子を紛失した私は脚立代わりになるものもなく、写真もゴール見学もあきらめて、二人してほとんど捨てた状態でコースを渡って向こうのショップ・ブース側へ移動する。

 エキシビションではいまいち興奮できず、目の前を通過していく車なんて全く見えずで、私達はスッカリ雑談モード。
 ソルベルグだけは見ておこうかって、だいぶ後ろの方の観客が薄くなっている背後へ立ち、友達は折り畳み椅子の上に立って、せめて1枚だけでもとカメラを構えている。…と、バキッという音と共に滑落。100円均一パイプイスを足台に使おうという発想はどうやら危険だったらしい。選手がみなさんの前を通過します、というアナウンスに目をこらしていると、なかなか来ない。
二人で「車を降りて歩いてるんじゃないの〜」と笑いながら冗談を言っていたら、本当にトップドライバーが塊で歩いてきた。遠足のようなほのぼのとした雰囲気に、笑えてしまって声援も忘れて見送るばかり。

 ワークスが去っても人の波は耐えることなく、3日間の死闘をくぐりぬけてきた選手に惜しみない声援を送っている。全日本ラリーで見慣れた選手が、あんなに盛り上がっている所を見たことがなかったけれども、窓からほとんど上半身を乗り出さんばかりにして観客に手を振っている。観客の方もワークス・プライベーター関係なく、手を伸ばして交流を図り、グッズをバラまいていくチームには大喜び。選手も箱乗りしたりで、その様子を後ろから風景として眺めていた自分には、本当にいい光景だなぁ、ラリー独特の絵だなぁとまたしても感激。
 DJの「本当のラリーファンは、最後まで残ったあなた達です!」の声に、ゴール直線上ギャラリーからは大歓声。

【見たか!ただのギャラリーの執念!】
 何となくこのままでは終われない気分。そう、「ソルベルグのサイン、もらってないじゃん!」。北海道ホテルに行ってみた。
中へ入ると"2F/フェアウェルパーティー"の看板。BINGO!
2Fへ上がって会場を覗くと、正装もしくはチームシャツの関係者で賑わっている。
見慣れたカメラマンの顔もあって、私達は奥へ進むことできず1Fロビーへ。

  ティーラウンジ横に椅子が置いてあったので、腰掛けようとした瞬間、ラウンジの中を見ると、そこにいるのはスバル関係者だった。えっ!あれっ?ヒルボネン! ラウンジの入口近くで立ち話をしている。さすがに中へ入ることはできなかったので、柱と観葉植物の隙間からストーカーしてチャンスを伺っていると、ヒルボネンが話を終え一人に。
チャ〜ンス! 「Mr.HIRVONEN!」と声を掛けたが聞こえなかったようで、立ち去りかけたその背中に、後ろのメンバーが一声「ミッコ!」。その声で振り向き、無事サインをGetすることができた。続いて入口近くに登場したのがソルベルグ。声を掛けて、サインを頼む。
先程坂本さんが手に入れてくれた、3日間私の手をすり抜け続けた幻のゼッケンNO.1の帽子がここに登場!
「May I give your autograph?」
「Of course!」
「Thank you」
「No problem!」

 9月5日(日)快晴
【また必ず来年も訪れます、帯広!】
 7:00過ぎに坂本さんを呼びに行く。滞在中、初めて使う朝食券。向かい合わせで朝食を取っていると、あれほど待ち望んでいたラリージャパンも確実に終息に向かっている気配がヒシヒシ。あぁぁ〜耐えられない。

 部屋へ戻って荷物をまとめ、ホテルをチェックアウトする。エレベーターで、NO.102のヴィッツ井上嬢が乗り合わせてきた。
体は大丈夫、少しの笑顔で「あと500mでゴールという地点でリタイアだよ〜」というセリフが妙に堪えた。ゴール目前ってどんな気分だろう、ヤバイ、気持ちがオーバーラップしてくる。

  外へ出ると夕べ止めてあった新井さんの車は跡形もなく、みんな解散していくんだなってまた寂しい気分。
途中、田んぼの真ん中にポツンとある、臭うニッポンレンタカーで手続きを済ませ、お店の人に乗ってきた車そのままで空港へ送ってもらう。搭乗手続き、手荷物預けを済ませて、先に出発の坂本カメラマンを見送る。

 WRCが日本で開催されるらしいと聞いてから、心待ちにしていた1年弱の間。ラリージャパンは、あっけなく終わってしまった。
虚無感を伴う寂しさを残したまま、たくさんの思い出と共に幕を閉じたのでした。