あまり見ることのないレッキ風景を堪能
雨のラリーが夜になると雪に変わりキャンセル

Photo&Report Tomomi Imamura

■ 競技会名称:全日本ラリー選手権 四輪駆動部門 第5戦
 M.C.S.C. 33rd Rally Highland Masters 2005■
■会場:高山市 丹生川町 朝日町■
■開催日:2005年10月21日(金)〜23日(日)■
■エントリー総数:48台



10月21日(金)快晴
 エントラントでもないのに、ハイランドマスターズに向け、木曜日の午後から月曜日いっぱいまで有給を取ってしまった…。こんなことをしているから、ラリー北海道帰還後に、突然の左遷宣告をされる事態に陥るのだろうが、本人は一向に構う様子なく、昨日は早々に退社をし、今朝の早起きに向けて就寝するという用意周到ぶり。

 そして今日は3:30起き。目標はレッキ受付時間内に「てづな石油」へ到着することだ。事前にレッキのタイムスケジュールを調べておいたので、早く行けばそれなりにどこかで写真は撮れるだろう。
 5:25に出発。走行車両も少なく、周囲がだんだんと白みかけてきて、何と言ってもその先にラリーが待っていると思うと、気分が高揚してこない筈がない。
昨年、てづな石油の向かいにある小八賀○へ着いた時には、まだ駐車場に止まっているラリー車はまばらで、そこから続々と集まってくる選手と挨拶をしたり、写真を撮ったりしていたものだが、今年はその駐車場がほとんど埋まっており、しかももうレッキへ出て行くエントラントもいる。

【貴重なレッキ風景撮影】
 まずは明日のギャラステ会場、深谷へ。スタート待ちのラリー車が連なっている最後尾に付ける。こんな光景が見られるなんて…と、とりあえずパシャッ! 深谷へ到着。
コースを挟んでギャラリーステージとは反対側の、イン側で1本目の撮影。長いラリー観戦歴の中で、初めて目にするレッキ光景。さすがに地形を確認するかのような慎重なドライブが続く。走行感を出して撮る物ではないので、風景として収めておこう。と思った矢先、スタート直後から豪快に接近してくる音。あのカラーリングは、今年は最初にして最後の全日本4駆参戦の綾部さん…。
レッキだと言うのに、背景が流れているんですけど。

  更に八本原でもう1本撮影できると聞き、頂上の駐車場に行った。
ここは昨年、坂本カメラマンが駐車した場所で、その時は下方で撮影したので、今日は道を上がって、一昨年と同じ場所から狙うことにしよう。
コース脇の、若干崖になった位置へ登り、カメラを撮り出して構図を考える。青い空と、風に揺れるススキに満足。一眼レフをいじったり、背後でカサカサいう笹の音に、熊ではないかと俄かに鼻歌を歌ってこちらの存在をアピールしたりしていると、やがて遠くにエンジンの音が聞こえて来た。高山短大のゼロカーだ。あら、全開走行でないとは言え、結構砂埃が立つ。リュックはビニール袋へ、自分は顔にバンダナの装備。高山の紅葉に、ラリー車! 美しくて感動してしまう。レッキなので3台程が連なって現れることもあって、初めて見るレッキ風景に、嬉々としてシャッターを切り続けた。

 次のSSへ入ると、安全圏が確保できつつ、高山らしい雰囲気が納められそうな場所で撮影。枯木を踏みしめる"ポキッ"という音に反応したスズメバチに襲撃されたというニュースを、つい今月に聞いたばかり。「お邪魔しま〜す」と恐る恐る声を掛けながら植物をかき分け、山の中へ。写真に夢中になって、後ろから熊に襲われるのもゴメンだ。

荷物を置いた場所は、道がS字になっているのが見通せて、いい構図になりそう。数十分の静寂に包まれた後のエンジン音。これがまた余計に興奮させてくれる。充分引き寄せた所でシャッターを押すと、後方ではS字に差し掛かる次の車が映り込んだりして、レッキらしさ満点! 

追い上げてきた三木競技長さんは、「もう1本走るから」と言い残してラリー車を追って行く。2本目は、先程の1本目スタート地点へ下る時に既にペースノートが完成してしまっていたのか、最初に登場した奴田原選手のランサーは、本番かと思うようなスピードだった。シャッタースピードがレッキモードのままだったので、慌てて次号車に備えて設定を変えると、次の村田選手ストーリアも、予想通りの勢いで通り過ぎて行った。何だかギャラリーステージを1本余分に見せてもらえた印象。
 林道を抜けて、舗装路に出ると山の向こうに見える夕日が美しい。
飛騨地方の秋の夕暮れムードが漂っていて、本当に充実したいい一日だったなぁと感慨にふける。

【感動の連続再会劇】
10月22日(土)曇り 後 雨
 5:50起き、7:10出発。ホテルに隣接してコンビニがあるので非常に快適、深谷で取る昼食などを買い出しし、まずは朝のサービスへ。

 スタート前のサービス会場を見学するのは楽しい。まだ選手が到着していないテントや整備を開始している。
「昨日レッキを撮っていたよね? レッキを撮っている人なんて初めて見たよ〜」とはベテラン大嶋選手。 「レッキ中の山の中に人がいるとは思わないから、心臓に悪い〜」と言う選手も。
自分が構えていたコーナーのノートが抜けていないことを願うばかりです。上の車検場では小岩井さん('03「キラ〜ン プレスだっ」編に登場)にも再会。
 
 スポンサーに全ての自動車メーカーの名前が並ぶ、豪華なサービストラックの横で城を構えるのは高山短大テント。さりげに覗き込むと、あれ〜、小金教授! 中にご招待して頂き、コーヒーを御馳走になった挙句、メダルのように首に "GUESTパス"を掛けていただいてしまった…。このメダルには、最後の表彰式まで効力を発揮してもらい、実力以上の働きをしていただきました。

【忍耐! 雨のギャラステAgain! 】
 そのまま10:50頃、小金教授の4駆とツーリングしながらギャラリーステージへ。自分の車はギャラリー駐車場へ置き、教授の車に同乗して深谷の駐車場へ。

 昨日、撮影していた駐車場にはヒストリックカーが並び、DJテントも設置されている。どこで撮ろうかと場所を探している間に、ポツポツと雨が降り出してきた。ポンチョを着て傘を差して、やれやれ、今年はキロロからこっち、お天気には恵まれていないかな。小金教授も一眼レフを装備し、並んでスタンバイ。

 12:41、Cクラス1号車よりスタート。長くカメラで追えるので流し撮りには持って来い、しかも、微妙なドリフト状態になり顔をこちらに向けて去って行くのが憎い。Cクラス中盤になると、雨がひどくなってきた。ところが深い轍に雨が溜まり、同じラインを取りインカットして行く車からはウォータースプラッシュ! 思わぬ面白い絵が撮れてしまって、「おぉ〜っ」と感激の声が出る。オープンクラスまで走り終えると、最後にヒストリックカーが雨の中、同じコースを駆け抜けてゆく。現役時代以上の迫力で、タイムスリップしたかのような光景だ。

  1本目が終了すると、小金教授は「まだ仕事があるから」と、ここで退場。こちらも場所を移動することにするが、最初は奥の90度コーナーを狙いに行くつもりだった。
しかし今年新設された、スタートしてすぐのヘアピンが見渡せる高台のギャラリーステージがどうにも気になる。荷物を抱えてまずそちらへ行ってみると、そこは深谷ダムがバックに入る、湖とラリー車とういう初めての構図が実現する理想的なポジションだった。
 他のギャラリーの間に割って入り、椅子をセッティングすると、雨が上がっていたので、おもむろにオニギリを取り出し、昼食。今回も、〜300mmまでの望遠レンズは全く必要無しで、大抵の人がシャッターチャンスとするヘアピンコーナーから、自分が撮りたい目の前のストレートまでは、オートフォーカス機能で追い続けようにも、途中、何本もの立木により邪魔をされ、上手くいかない。この広大に広がる景色をどこでトリミングするかも悩ましい。

  そうこうしている間に、予定より10分早まり14:55に1号車がスタート。Cクラス上位はシャッタースピードが早過ぎたようで、静止画のような写真になってしまっている。…が遅くするとブレてしまうし、1台撮っては首をひねるの繰り返し。チャレンジクラスでは冒険し過ぎで、ほとんどが使えない絵ばかりになってしまった。

【エントラントにもオフィシャルにも過酷な、高山の夜】
 今日の夕食は、まともな店へ食べに行く時間はなさそう。少し下った「赤かぶの里」で3年連続"飛騨牛の串焼き"を買ってこよう。雨の国道は、、センターラインもよく見えないような状況で、思わず目的地を通り過ぎてしまった。引き返し、駐車場へ車を止めても、他の客も見当たらない。ほとんど閉店間際の保温器の中には、それでも五平餅、明宝ハム揚げ、飛騨牛揚げ、そして飛騨牛串焼きも焼いてくれると言う。生肉に胡椒をかけたり、ひっくり返したりする間、店員の女性は「まだ車(ラリー車)走っているの?」とか、「あら、名古屋から見えたの?

 動物性蛋白オンリーの夕食を終えると、目の前を勝田選手のインプレッサが通過していくのが見えたので、車から降りて土砂降りのサービス会場へ。インプレッサはすぐさまジャッキアップされ、Fr左足回りの交換。リタイアはマシントラブルであったようだ。このテント前で、再び小金教授とバッタリ。「あれ、今日はもう戻ってみえないかと思っていましたよ!」。
20分サービスに向け、高山短大の学生が駆けつけるのだから、来ない訳には行かない…と。
結局、みんなラリーが好きなのだ。

 雨と寒さで、体の内面から震えが来る体で、高山テント内へお招きしてもらい、御馳走になったのは"豚汁"。強力な一杯で、気合復活〜! 8:00にインの予定だった神岡ドライバーの高山短大0カーは、50分遅れで飛び込んで来た。
途端に雰囲気が一変、学生達の声が飛び交い、1台の車の周囲を忙しく動き回る。下回りの整備から戻って来ると、作業着の背中は泥で真っ茶色。
恒例の「いってらっしゃ〜い」の声と共に、再び戦場に送り出される競技車。





  正にラリーAusで見た再現ドラマだ。
隣りにいつもいる筈の坂本カメラマンが今回はいない。
円陣を組む学生と教授を眺めながら、くつろぐのも束の間、ゼッケンNO.41のもう1台の高山短大の車が戻ってきた。ピットインと共に学生へ指示を出すコドライバー。再びテント内は修羅場と化す。
SSへと出て行くのを見送ると、22:48予定のゴールまではもう一息だ。

 ここまで来たんだから、今年最後のドラマの行方を見届けて帰ろうではないか。そう思っているところへ現れたのが奴田原選手のランサー。えっ、何事? リタイアして戻って来た風でもない。カメラを握ったまま状況が分からず、呆然と目で追っていると、次々に競技車が戻ってきて、パルクフェルメへ車を止めて行く。
近くに居たオフィシャルに話を聞くと、雪でナイトセクションの八本原3本がキャンセルになったそうだ。ここサービスパークでもこれだけの寒さだから、山の上は確かに雪になってもおかしくはない。

【今年も見納め表彰式】
10月23日(日)晴 後 雨
 表彰式が10:00からなので、余裕を持って7:00に起きる。ほおのき平に着くと、位置を変えたバルーンゲートの前には、A〜Cクラス優勝車が並び、シャンパンが置かれている。定刻通り、スキーセンター2Fで乗鞍観光協会の方の挨拶から、表彰式が始まる。前から2列目の(隣りは山口彰子さんだった)の好位置に付け、続く平林大会会長、三木競技長と激写。表彰はオープンクラスから。

  Aクラス1位の平塚選手、2位の小野寺選手、そしてBクラス1位の大嶋選手、2位の原口選手はお馴染みベテラン勢という印象。今回は、'05年の全日本戦は初参戦にしてCクラス3位に入賞した綾部選手にやはり注目が集まる。
  マイクを握り、「やっぱりラリーは楽しいよね。
まだまだ進化中だよ。左足ブレーキも使っちゃうよ?」と未だ発展途上中をアピールする綾部選手のタフガイぶりには、爆笑しつつも励まされる。来年もまた走ってもらいたいな。

 2位はハイランドとは相性のいい田口選手が、新しいカラーリングの映えるランサーと共に、悪天候・悪路でも強いことを証明。優勝と同時に、今年4年連続のチャンピオンとなった奴田原選手。
表彰式終了と共に、屋外でシャンパンファイト。会場出口でリザルトブックを配布している池田さんを見掛けお礼を言って外へ出ると、すでに優勝車が人垣で囲まれ、さぁ栓を抜く準備という頃になると、また雨がポツポツと降り出した。傘を差し、人垣の中へ突入すると、どうやら間に合ったようだ。大嶋選手のシャンパンだけ一足お先に吹き上がる。続けて奴田原選手と平塚選手も。雨はいよいよ本降りになってきた。

 今年のラリーも終わってしまったなぁ!などと考えていたが、いつまでも余韻に浸っていても仕方がないので、ナビの目的地を自宅に設定し、帰路に着く。