最後の大どんでん返しに、ただただ驚き!
   
■競技会名称:全日本ラリー選手権 第8戦
  KIRORO Traverse Kamuiminndara 2006 Rally in Akaigawa■
■北海道:赤井川村 仁木町■
■開催日:2006年9月22日(金)〜9月24日(日)■
■エントリー総数:26台
   

【一人、哀愁の漂う姿で小樽運河へ…】
9月22日(金)晴 後 曇
 セントレア内の商用施設はディスプレイが早くもハロウィン特集中で、時間まで雑貨を見て回るのも楽しい。
早速、買い物をし、荷物を増やしてしまったり。LUNCHの空弁も選択肢が広い。「とりめし(¥880)」を手に、11:55分発の飛行機に乗り込む。座席は窓側が絶対条件だが、隣りに座って来たご夫婦。
品は良さそうなのだが、何しろ香水の匂いが限界点を超えている。ハンカチで口を押さえ、ぐったりと窓にもたれかかる…。席を変わろうと思ったその時、ゆっくりと動き出す機体…。
 乱気流により、通常より遅い、ベルト着用サインが消えるまでの25分は正に拷問だった…。後方に横3人、誰も座っていない列を見つけて移動。鼻が完全に香水の残り香を思い出せなくなった頃、おもむろに「とりめし」に手をつける。

 千歳空港に到着し、雲行きの怪しい空に目をやりながらレンタカー会社行きのバスに揺られる。
14:00レンタカー発。予約した、とんぼ玉体験「ゆず工房」近くを目的地にセットすると、到着予想時刻は15:30。予約時間は15:00だから、こりゃヤバい。
 途中、高速からの海を眺めながら、毎年小樽に来る度に利用している20分¥100のパーキングへIn。一色2丁目の場所がイマイチわからず、電話をしながら、若干遅れて「ゆず工房」に到着。最初に作りたい個数と作るものを申告して、料金を払うシステム。その後、とんぼ玉のベースとなるガラス棒の色と、アクセントに付けるガラス棒の色を選ぶ。いざ、初とんぼ玉製作体験!

まず、お店の人が太いバーナーでベースのガラス棒先端を溶かし、垂れそうになったところで、手渡してもらい、手元の細いバーナーであぶりつつ、アクセントの細いガラス棒をベースに押し付け、マーブル模様を付けて行く。
"こんなものかな?"と思ったところで、細いガラス棒を離し、ベースを更にあぶって下へ垂れた部分を左手に持った金属棒で受ける。大きさと丸味を見ながら、右手のベースを離し、後は両手で金属棒を持って、丸く綺麗な形になるまで回し続ける。バーナーの炎を眺めながら、静かにガラス玉と向き合う時間は、日頃の疲れも何もかも忘れ集中できる、優雅な一時だった。
ガラス玉の焼けた表面は、大気圏へ突入する隕石を思い起こさせ、この小さな物体の中に宇宙を感じてしまったり。んっ?メルヘン?

火から離したガラス玉は、篭ったグリーン色に変色を始め、そこで砂に埋めて冷ます。出来上がって来るまでは、どんな色でデザインになっているかわからないので、楽しみだ。
結局、5個も製作してしまい、冷えるまでの間、有料駐車場から、お店の従業員駐車場に車を置かせてもらえることになったので、車両を取りに行くことにした。

再び店内に入ると、もう一つ、とんぼ玉が作りたくなり、更に一つ追加発注。
これも冷えるまでの間、もう一つの目的、『ドゥーブルフロマージュ』で有名な「ルタオ」の2Fでケーキを食べながら手紙を書く。何て優雅で美しい時間…。
外へ出ると、とんぼ玉一つ作っている間に夕立があったのか、地面に水溜りが出来ている。あれ?と思い、歩きだすと、小樽運河の上に、虹が掛かっているのが見えた!
慌ててコンパクトカメラでとりあえずパチリ!更に虹に向かって走り、一眼レフを引っ張り出して連写。茜色の夕焼け空に、小樽のレトロな建物、そこに掛かる見事な半円の虹。素晴らしい一瞬との出会いだった。

この出来事にあっという間に30分程経過してしまい、17:30「ゆず工房」へ作品を受け取りに行く。再び店外へ出て歩き出すと、夕闇の手が建物と建物の間にも入り込み、薄暗くなって来た。「ルタオ」へと足を速めつつ、途中途中の土産物屋へ立ち寄りながら歩く。雨がポツポツと顔に当たり、"折り畳み傘を広げようか"と出したところで、本降りに・・・。ほとんど夕立のような勢いに、思わずソバ屋の軒先を借り、雨宿りをしていると、向かいの店の主人もあまりの雨に表へ出て観察している程だ。

小降りになったと思われた頃、ベタベタのジーンズで再び雨中へ。見付けた「北一硝子」に入ると、探していたスピッツのオルゴールCDを手に入れることができ、感激。
濡れた服装を見たからか、店員の紙袋の上からビニール袋を掛けてくれた気遣いにも感激。
 18:00、目的地「ルタオ」へ着き、2Fへ上がったところ、「本日は終了しました」の札。仕方がないので、『ドゥーブルフロマージュ』だけは自宅へ郵送しておく。
お約束の「オルゴール堂本館」をUターン地点に復路に着く。
昨年寄った「すし奥尻」は名前が変わり「すし屋横丁」になっていたが、同じ場所にあり、2Fでお持ち帰りを注文。

 「ゆず工房」の駐車場に戻り、19:00頃、赤井川を目指し走り出す。途中、あれ何?と思わず空を見上げると星だった。あんなに星の存在を感じるなんて、最近はなかったなぁ。途中、木々の間から一瞬垣間見える小樽の夜景に息を飲んだり、遠くの山々の霧に何かが反射しているのか、説明が付かないような、赤く幻想的な風景に驚いたり、今日何度目かの「来て良かったなぁ」という気分に浸っていた。

【恐怖のダート運転教習】
 6:15起き、7:30起き。最初の取材、サービス会場からは目と鼻の先のSS2の入口には、まだオフィシャルが到着しておらず、ゲートには鍵の掛かったまま…。
オフィシャル車両、プレス車両に続いて中へ入って行くと、拳大?ネコの頭ぐらい?の石が路面にはゴロゴロと…。
ここTraverse Bのコースは、雨の名残か、ぬかるんだ泥に足を取られそうになる箇所もある。ラジオポイントに車両を止め、右コーナーが狙える位置でスタンバイ。

今回は、奴田原選手がアジパシ参加の為に不在なばかりか、チームメイトの田口(幸)選手までもが不在と、有力選手の写真が収められないのは痛い。
予定通りの9:26競技開始。終わって、出口へ向かう途中、石田(雅)選手の車両が木立脇に突っ込んでいるのが見える。優勝候補と言われたドライバーのあっけないリタイアに、ちょっと寂しい気分。
勝田選手VS石田(雅)選手になるであろうと思われていた構図が、ここで崩れつつあった。
オフィシャルのランサーで牽引し、引き上げると、まだ汚れていない綺麗な車体はFrバンパーが外れかかり、無残な姿に…。更に先へ進むと、ゼッケンNo.12が。彼もまたこのSSの犠牲者だった。

 ラリー車が通過した後の、荒れた路面に神経を使い、下手すればこちらもタイヤバーストで犠牲者になりそうな状況。冷や冷やで林道を抜け、一般道と合流すると、舗装された路面の有り難いこと。
プレスの方々が打ち合わせ。時間的にもう1本撮ってから食事にしようとのことで、10:30、再び林道の入口へ。
もう一度、あの悪路と対峙するのだと思うと、緊張感でいっぱい。競技車だけでなく、プレスだってキロロをトラバースするのだ。ただの砂利道ならまだそこそこ走れるのだが、突起した瓦礫の散乱している箇所は、パンクが頭を過ぎり、恐ろしくて異常に神経質に避けて走ってしまう。避けるべきか、乗り越えるべきかの判断を間違え、レンタカーの車体下に恐ろしい音で岩がこすれた音がする。地上高が低いヴィッツには試練の道だ。

11:30、SS6のラジオポイントへ到着。空腹に、ポップコーンの容器を開け、頬張りながら歩きつつ、熊が寄って来ないかと不安になるが、コンビニで買った「そば」に「とろろ」を掛け、セッティングしている人まで居るし。
 撮ろうと決めた場所は、雑草を踏み固めたような後があるから、前のSSで同じ場所で撮影していた人がいる模様。目前の左コーナーでシャッターを切ると、車体背景に、駆け上がってきた緩い直線が写り、ちょっとラリーAusのStirling Westを思い出してしまった。

12:31頃、競技開始。アウト側にも関わらず、想像したほどの石つぶて攻撃は受けず。石田(正)選手のランサーは、Frバンパーに雑草を巻き込み、ナンバーは180度上を向き、凄まじい形相。先程ベストを取った堀田選手は、このSSでは戦線離脱しているらしい。

田中伸幸選手も現れなかった。砂利を巻き上げて接近してくる様子に、保身が先に来てしまい、腰が引けながらの写真は、やはりブレているか、被写体が切れてしまっているかになってしまう。13:30競技終了。

撮影が終われば、また競技車と同じ道を下って行かなければならない。
路面を凝視し、異常に突起した石はないか、どの軌跡を通ればタイヤの衝撃が最も軽くなるか、体と頭を使い、瞬時に判断しつつ走って行くが、間違えれば「バカ〜ン」と車内にハズレましたの音が悲しく響く。レンタカー会社顧客ブラックリストの殿堂入りをする日もそう遠くないかもしれない。

前と後ろを、プレスの方に挟んでもらい、"完全擁護体勢"でやれやれと下山を終えた後は、昼食タイムだ! 「セイコーマート」という名前が聞こえたので、"コンビニおにぎりかな〜"と思っていたところ、次にストップした先は、一軒の民宿だった。鎌田スポーツの選手が泊まっているというような話であったが、中へ入り、靴を脱いで上がると、一般家庭のようなテーブルがいくつか並び、昼は食堂として機能している感じ。注文したボリューム満点チャーハンを、目を白黒させながら片付けていると、"付け合せ"と言って出てきた一品には煮物・冷奴が盛り付けられ、これだけでもお腹イッパイ。
以上で¥700はお得感満載。

14:45。またしても林道の入口に立つ。気合を入れ、撮影ポイントを目指すことにしよう。
今日は一日、下りて登って、ダートコースの運転練習をしているようだ。10分程で頂上へ、周囲の山々の稜線と同じぐらいの高さだ。ラリーがなければ、一生こんな北海道の山中を自走できる機会はないぞ。
 車スペースへ車を置き、歩いてポイント探し。下って緩い右コーナーのアウト側が今回の滞在先になる。
自分のスペースは自分で開拓、先ずは生い茂る笹を分け入って奥へ進み、更に周辺の笹を足で寝かす。

コーナーの中心、丁度シャッターを切る辺りに木々の陰が出来て、斑模様になっている。
その手前の完全に日が当たっている箇所では早過ぎるから、仕方がないかな。15:24、勝田選手が登場すると、いきなり「RADIO POINT」の邪魔な立て看板を吹っ飛ばして行ってくれた。素晴らしい!
 イン側ギリギリで攻めている証拠だろう、炭山選手のラインと比較すると、いかに内側に入っているかがわかる。
終わって下山しようとヴィッツのドアを開けようとした時、右足スネに激痛! 叫んでズボンを捲くると打撲している。
むぅぅ〜、金曜日の流血に続いてまたしても。こちらの運転が下手で車体を瓦礫にヒットさせている仕返しか? とにかく険悪な状態が続いている…。

マウンテンのサービス会場へ到着すると、かなり寒い! どのテントを見て回っても、足回りの泥の掻き出しに懸命だ。大庭選手のバンパー下は、紙切れのようにボロボロにささくれ立っていて、路面の悪さと激しい走りを物語っている。
堀田選手のランサーは、右Rrドアと車体に隙間が出来るほどの衝撃を受けたらしく、これがリタイアの原因となったのだろうか。インタビューを受ける炭山選手の表情には笑みが。カメラを向けた平塚選手からも満面の笑み。

こうしたやり取りからも、置かれた状況や心理状態が見て取れたり。キロロトラバースのサービス会場は、周辺を360度山々が取り囲み、上から下へ、青から赤への微妙な空のグラデーションをバックに、パルクフェルメの様子も美しい絵画を観ているようで、日本各地で経験してきたラリー風景の中でも、大好きな場面の一つだ。
今日一日の汚れを落としてもらった競技車は、一晩ここで眠り、再び明日の激闘を待つ。

 

【最終SSまでもつれ込んだ優勝争いの行方は?】
9月24日(日)晴
 5:10起き。6:30出発。チェックアウトを済ませ、7:10、サービス会場を出る。
今日はお馴染みギャラリーステージ「View」のより更に下って行った先の右カーブ上の斜面へ上がり、上からコーナリング中を狙う形。待っている間、上着を羽織る程ではなかったが、やはり寒い。

 北村選手、勝田選手の順に現れたが、正面から見たRrの流れ具合、Rrタイヤの見え方から、迫力のある走るが見られるのは、今回ほんの上位数台だけのようだ。平塚選手に至っては、2位以下との開きがある為、タイムよりは完走重視のクルージングに入っているようだ。
 1本目が終わった9:30頃、場所を移動する。プレスの中ではすっかりこの名前が定着してしまっている「坂本コーナー」へ移動。先程撮ったコーナーの一つ前の右コーナーを17mm-85mmレンズで狙う。
 11:00にゼッケンNO.3の北村選手、次いで勝田選手、炭山選手。上位3台の砂利の巻き上げ方、砂埃の立ち方にはほとんど差が感じられない。立ち上がり後の直線を流してみたり、後方に広がる青空を入れ風景としてラリー車を撮り込んでみたり、構図を変えて撮りつつSS12終了。中島カメラマンは下のゴール付近での撮影の為、乗ってきたカローラを運転して下る。

SS12終了時点で、北村選手、勝田選手が同タイム1位で並ぶという、最後の最後のSSまで目が離せない、ドラマのような面白い展開へ。
サービスへと戻る途中、今年も行けたら…と期待していた「山中牧場」でソフトクリーム休憩。新味、抹茶ミックス(¥250)を舐めながら、道路脇でプレス御一行並んで見守っていると、最後のSSを終えた北村選手が駆け抜けて行くのが見えた。
軍配はどちらに上がったのか?

右手にソフトクリーム。
そして左手は人差し指1本を突き出し、誤ったヒッチハイクのように4人連なり向かって来る勝田選手にサインを送る。通りすがりに返って来た合図…"ピース"!!! 

しかし読み間違えてはいけない、Vサインではなく、指2本=2着が正答のようだ。…ということは、北村選手の優勝だ!
 急いでサービス会場に戻り、まずはLUCKテントへ。悔しそうな勝田選手の表情を収め、歩いていると、今回はサービス員として参加している福永さんが見えた。近寄ると、「炭山さん、やったね」と一言。
やったって、何をやっちゃったんですか!?

とぼけたように聞き返すと、不思議そうな顔で、「何って、優勝…」。
やはり最後まで何があるかわからないのがラリー。CUSCOのテントへ走ると、そこは、"これが優勝したテントです"と一目でわかる祝賀ムードぶり。ドライバーはもちろん、監督、サービスクルーみんな笑顔、笑顔。何しろ炭山選手は三十路に入りたてにしての、初優勝。ドライバー・コドライバーの表情と、バックに広がる北海道の青空が何とも印象的だ。

 表彰式までは時間があるので、他のテントも見て回り、悲喜こもごもの様子を写して歩く。「僕、一年生です。プリメーラに乗ってるんですけど、早く先輩のように走れるようになりたいです」と話すのは、現場で頑張っていたオフィシャル君。一年生はもちろん、社会人ではなく、大学生。若い〜〜〜!
明日の全日本ラリードライバーを目指して、頑張ってください。

 14:00に表彰式開始。お馴染み澁谷審査委員長から、JN−2クラスの表彰へ。司会者の、「時間がないので5分で」。ここで「長〜い!」とヤジが入り、「あっ、じゃぁ25秒で。優勝者は特別に35秒で」。大会名を言うだけでも「キロロトラバースカムイミンダラ2006ラリーイン赤井川」。司会者自ら言い終わって「長いっ」と一言。
JRCA専属となって欲しいと思うような、名司会者で、終始会場を笑わせてくれました。
進行の方は、何せJN−1とJN−3は不成立と言う盛況ぶり・・・。
すぐにJN−4へと移る。4位に入った石田(正)選手の「ヌタさんがいないのに、ヌタヌタにやられた(笑)」というコメントに、また会場が沸き、続く3位〜1位クラスでは、惜しくも優勝を逃した勝田選手がコメントすると、再び聴衆からは「とか言って、顔が悔しそうだぞ」とヤジが入る。

ラスト1本のSSを残して1位、優勝の2文字をほぼ手中に掴みかけていただけに、自分に対して納得がいかないのだろう。
そして初優勝の炭山選手はというと、ドライバー本人よりもコドライバーの沼尾選手のコメントが印象的だった。
珍しく神妙な面持ちでマイクを握る彼は、炭山選手が「自分が怖いと思うほどアクセルを踏んでいた」という。そして、会場が静まってしまうほど、穏やかに優勝の喜びを語り、それが逆に総合優勝を取ることの難しさと、いかに精神と体力の限界で戦っているのかを伝えてくるのだった。

マウンテンホテルを出て、シャンパンファイト。クラス優勝1台ずつのセレモニーのようだ。炭山選手と沼尾選手は、若い二人だけあって、シャンパン掛けも本当に楽しそうで、しかも初めての優勝とあって表情が生き生きとしている。
15:00近くになり、空港へ向かうことにする。小樽I.C.から高速へ。途中、防音壁の切れ目から一瞬垣間見える、息を飲むような海岸の景色に、「来年もまた絶対にこの光景を見る為に戻って来るぞ」と誓う。