■競技会名称:全日本ラリー選手権 第4戦
  ひむかラリー'08 in 美郷■
■宮崎県美郷町■
■開催日:2008年5月30日(金)〜6月1日(日)■
■エントリー総数:28台
   

5月30日(金)曇→雨

 ちょうど通勤ラッシュと重なり、おおっ?と言わんばかりに後ろから圧縮され、メタボオヤジの腹が腕に当たるのが、強烈に気持ち悪い。空港にはショッピングモールがあり、フライトまで時間が足りないと思う程に飽きない。
久しぶりに利用するANAは、搭乗ゲートへの入場方法が航空券のゲート改札機挿入方式から、バーコード読み取り式になっていて戸惑う。
しかし背負った時の姿から"亀"と呼ばれる自分のカメラバックが楽々入るジャンボの荷室には感動。
いつまでも 離陸しないと思っていると、故障が見つかったので離陸中止、その場で整備を行うとのことで唖然…。
滑走路のど真ん中で止まるって、どういうこと? なぜか不思議とドラマの起こる私のラリー…。
30分遅れで、熊本に向け飛び立つ。トヨタレンタリースへの送迎バス内に乗り込んで来た客の顔を見たところ、職場の元・上司がだとわかり更にブルー…。

 11:50に出発し、益城熊本空港I.C.からへ。人吉I.C.で下りる直前の山江SAで、空港から持参した空弁休憩。高速を下りると、長い1本道が続くR219。北海道を連想させるような直線道路だが、囲む山々を見ると、熊本という感じもして、気分のいいドライブが続く。
一般道に下りてからというもの、コンビニも道の駅もなく、段々とト*レが不安になってくる。
ちょっと「拝借させてください」と言える様な場所が、皆無なのだ。下手をすれば民家すら見当たらない。ナビなんて、背景一色の画面に走る線が1本。R265に入り、椎葉村を抜ける頃になると、雨が降り出し、霧が出て、道は対向車が来てもすれ違えるかどうかという林道だし、ものすごく不気味。
延々走っても人一人見掛けず、本当にこの先にラリー会場が待っているのか?と思えて来る。そんな道中もやがてゴールが見え、15:30に「南郷区運動公園」に到着。プレスのレンタカーも数台集結している。
人の居る風景っていいなぁ。 

  全日本ラリーのイベントの中でも珍しい、"地元の学校の表敬訪問"イベントのため、すぐ下の「南郷中学校」へ向かう。 雨の中、車両で移動し、中学校前のグランドに止めると、1台、また1台とJN-1.0クラスのレンタカーが集結。
全てシルバーで計4台。後ろから見ると異様だ…。
ラリー車のエンジン音が入って来る。体育館に入ると、放課後の生徒達が集まり整然と体操座りで並んでいる。
登場するエントラント7名。角度を変え、写真を撮っていると、バリバリと追加のラリー車の音。多分…と、隙間から外を見れば雨の中、小走りの勝田選手。どーもすみません、と言いつつ、生徒の前に立つと右手を上げて、「ラリーを知ってる人〜?」いきなりワールドを形成してしまった。ひとしきり挨拶が終わったところで、外に出て実際にラリー車とふれあいタイム。ドライバーシートに座ってみたり、エントラントと交流したりと、こんな歳の頃にいいなとうらやましくなる光景だった。

  雨も降ってきたし、19:00までは車内で京都ラリーの原稿を書いて過ごす。10分前になったので、体育館内に移動。オフィシャルの方がパイプ椅子を並べる手作り感のある雰囲気。メディアブリーフィングでは、草野さんがプレスを1箇所に集め、まず、「遠いところよく来てくれました」の一言に、一帯はじ〜ん…。
水曜日に300mmの雨が降り、一応全車通過可能だが、SSのキャンセル等有り得ると、講話を聞かせるように説明をする。「お弁当も用意したからね」と言われ、更に驚いてしまう。そんな中なので、昨年の取材経験者も多いことも手伝い、議論になる場面もなく、ほんわかと終了。
「車両は何台?」と聞かれ、私も手を挙げると、「一人で大丈夫?」と。その言葉で便乗が決まり、草野さんは「これで1台、減ったね」。外に出ると真っ暗になっていたが、雨は上がり、信号のない国道を隊列を組み日向市のホテルへ向かう。ナビでは38.6kmで1時間20分程掛かるとと表示されていたが、交通量も少なく、30分程で着いてしまう。意外と通えてしまえそうな距離だった。

他の方が宿泊する「ルミエール」と、自分が予約した「日向第一ホテル」は隣同士だったが、双方に隣接し、ちょうど中間にある駐車場は、ルミエールのものだった。
こちらのは、少し離れたところ。部屋に入ると、清潔感溢れる室内に、充実した備品(ホウ酸ダンゴは残念ながら設置されていなかったが)、これで京都ラリーで泊まった一泊\6,000と同一料金かと思ってしまう。自分的には「★★★★★」レベルでした。気持ち良くお風呂に入り、後は寝るだけ。…とその時、部屋の電話が鳴る。時計を見れば、もうすぐ日付が変わろうという頃。"ストーカーか?"と迷いつつも受話器を上げるが、不気味過ぎて、とりあえずは無言で様子を見る。すると「フロントですが? お車のルームライトが付いております」。それから着替えてヴィッツに会いに。明日の朝、SSを1本見逃し、JAFを呼ぶはめになるところで、助かりました。12:30就寝。

5月31日(土)

 6:00起き、7:30出発。まずはHQへ。
今回はサービスが点在しているので、テントを回って取材するのもいい運動になる。スタートゲートの周辺にはギャラリーが集まり、歩道は坂の下の方まで埋まっている。SS2への車両通行可能時間の関係で、1、2号車までしか撮影できない。3号車目を横目で確認しつつ、一斉に下の駐車場までダッシュ! SSへ向かう途中、沿道で旗を振る住民の方々を見掛けた。これが噂の"ひむかラリー"なんだなぁと、実際に生の自分の目で見ると、本当に嬉しい気分になる光景だった。





 SS2は、ジャンクションの、右コーナー。手前のコーナーを、積み重ねられた丸太の上によじ登って撮影。ちょうど自分の正面に看板が立っているので、シャッターを切る終了位置が決められてしまうが、ここに来るまでの構図は、面白い。雨に濡れ、水分を吸い変色した丸太は、滑る。「おわぁ〜?」の絶叫と共に、何度か丸太と丸太の間にズボッ!と落下。何度か繰り返して、レンタカーに戻る。タイムスケジュール的なことと、痛んでしまうので、ここで昼食タイムを取った。朝が早く空腹だったので、美味しく身に染みるようだ。いつもはせいぜいオニギリ2・3個なので、お弁当がとても有り難く感じられました。口を動かしていると、前方に入ってくる車両。一目でわかる、花柄コルト。車両は既にゼッケンが外されている。

 2本目は、コース脇にそそり立つ、腰以上の高さまでの雑草が生い茂る斜面を登った先に、また別の景観があると聞いた。そう言われると、見ない訳にはいかず、1脚を杖代わりにジグザグと進んで行くと、少し登った辺りに二つの人影。大井選手と原田選手だった。SS4はここからの参加となるようだ。更に草をかき分け、上の斜面に到達し、登頂の祝福にクモの巣のテープカットを受け、顔のベタベタを払い除けながら、コースを眺めると、そこはハイランドの八本腹を連想するような、崖を回り込んで登場する、私の好きな雰囲気。
いい景色に出会えると、苦労も吹き飛んでしまいます。

  前日の雨を含み、若干色の濃くなった砂地も更に印象を盛り上げている。
間もなく、ゼッケン0が通過し、次に1号車。No.25まで撮ったところで、下界の雰囲気が変わったような気配を感じ、斜面の脇に立って見下ろすが、高低差があるので、わからない。仕方なく下りていくと、競技が終了しているようで、撮影を切り上げ、次の場所へ移動を開始している場面を見て仰天。雑草の間から、道路に飛び出すと、「ゲリラかと思った」とも言われ。続くSS5はギャラリーステージ。2箇所の観戦エリアに、駐車場脇の崖上からも可能なので合計3箇所で撮影できそう。結構人数が入っているように見える。立ち位置に迷うが、1本目は90°に近い右コーナー、0カーが来たのでカメラを覗くと、凄まじい勢いで進入してきたと思ったら、壁に側面を擦りながら、それでも強引に抜けていってしまった。
あまりのパフォーマンスに、ギャラリーからは"おおっ"と歓声が沸き、やっぱりグラベルはカッコいいわ〜と思う。競技車も横向きの進入に加え、更に荷重を左フロントで支えている様子に迫力がある。
対岸では、頬かむりをしたおばあちゃんが、孫と一緒にオフィシャルの解説に大笑いをしながら、通り過ぎる車両を見送っている様子が、何ともほのぼのとして見えこちらまで嬉しくなってきた。

 1時間ちょっとの中休みを挟んだ後の2本目は、ギャラリーの中にお邪魔して1本目のコーナーより一つ手前のコーナーからカメラで追いつつ、シャッターポイントはやはり先程と同じコーナー。ファインダー越しに水色×白のカラーリングが見えた為、"北村選手だ"と思った次の瞬間、ややオーバー気味のラインはそのまま外側に流れ、左フロントを土手に擦ったかに見えたが、そのままつまづくように顔を土手に向け、次の動作ではもうリアが持ち上がる。
空中で静止したかのように見えた後、反動で反対側の崖にリアがぶつかり、リアバンパーが落ちた。そのバンパーをバックで乗り越え、オフィシャルの立つ脇道で方向転換をし、抜けていく。ギャラリーからは安堵の溜息と歓声が漏れる。しかしその後、オフィシャルがコースに出て、通過車両をイエローフラッグで静止させ、注意を促してから通行させる場面が展開される。ギャラリーからは「止めるな!」のブーイング。やはり先程の北村選手がこの先で?と誰もが思っていたに違いない。その後、競技が中断し、SSキャンセルのアナウンスがされる。

 「ひむか」のギャラリーステージはこの前のSS5の1本で終了となり、仕方がないとはいえ、気の毒な気もする。明日の朝もここが撮影場所となる為、下見を兼ね取り付け道路と、コース順走の二手に分かれてサービスへ向かう。北村さんは車両前後の大修理中で、西尾さんが整備に飛び回っている。
今日はまだ日の残るうちに日向市へ戻る。19:10部屋着。
 6月1日(日)晴

 4:00起き→5:30出発。アクセス道は、昨日のSS7終了後に、私達が通らなかった、取り付け路の方。通行して帰路に着こうとしたギャラリーに、オフィシャルの方がしきりに「危険」と諭していた林道になる。土砂崩れ箇所までは、運転しても大丈夫だったのではないかという気がしていたが、いざその難所にさしかかると、右に寄り過ぎれば、土砂に乗り上げそうだし、かといって左はすぐ崖になっているため、余裕がない。通過時に助手席から下を覗くと、路面は全く見えず、下を流れる川が目に入り、重心を傾けるのも怖いぐらいだ。

  SS 8は、7:17スタート。ギリギリの荷重に耐え、立ち上がるところを左側から。昨日のギャラリーステージの逆走になる。まともに逆光で、レンズ内に太陽が映り込んでいるらしいが、構図的にこの位置から撮ってしまう。榊選手がドライバー、大井選手がコ・ドライバーを務めるコルトがやって来たが、車両の足が折れてしまったそうで、昨日北村選手が入ったと同じ空き地に車を止め、ギャラリースタンドを二人で独占状態で観戦することに。結局、SS2、4、5、7の4本は全て同じコーナーとなってしまったが、LEG2の2本目はこれを右側のギャラリー駐車場となっていた場所の崖の上から、プレスが1列ほぼ等間隔に並び撮影。北村選手は再び同じ場所でリアバンパーを落とし、オフィシャルがそれを回収。
サービスへ戻ると、既に撤収済の様子。HQでお弁当をいただき、車内で昼食。熱中症になりそうな暑さで、座っているだけなのに、背中は汗。ヴィッツでドアを開けてレポートを書いていても、直射日光で気絶しそう。

 シャンパンファイトに、下まで歩いてテクテクと下って行くと、現れる青いインプレッサ。北田ナビも、今年初の参戦で、いきなりの優勝は嬉しそう。サービスメカニックと、ファンも車両を囲んでの記念撮影。表彰式の為、体育館に入ると、エントラントの視線は1箇所に釘付け。夏休み町内映画上映会のように、モニターの前に座り、寝そべり、観客をこんなにも大喜びさせているものの正体は、「Rally Digest in Japan Produced by Takumi Takahashi」。何せコンセプトは、"会社の外人でも笑える"ですから。
見せ場で会場中にどっと大爆笑が起きる。このまま表彰式に流れて、切り替えられるのかと不安な程であったが、そこは皆様さすがはプロ。多分、この表彰式で最もインパクトがあり、関係者の記憶に残るであろう主役はこの人、"美郷町長"。町を元気にするためには、まず自分が元気でなくてはいけないと、普段はパジェロを乗り回し、来年もまた開催されますよね?と語るその口調は、とても80歳を超えているとは思えない。

  そして大会役員の「オフィシャルの皆さん、ありがとう」の声に、会場両脇に並ぶ"青い軍団"の皆様が立ち上がる。13:30に会場を出発。一路、熊本空港へ。燃料が心配だったので、会場を下りてすぐのスタンドで給油。
隣りには北村選手のインプレッサ。椎葉村の林道SSコースへ突入すると、タイトコーナーの連続、退避所でないとすれ違いが出来ないような片側1車線が50km、1.5時間ぐらい続く。もうドライブはたくさんという気分で、来年は熊本空港でなく、宮崎空港を選択しよう。

  途中、息抜きに滝の流れるスポットで写真を撮ったり、美しい渓流の見渡せる場所で車を止めたり、ダム湖脇の景色を眺めたりしつつ、ようやく椎葉村を抜けた。3時間ちょっとかかり、空港近くのガソリンスタンドに飛び込んだ時には、すでにグッタリ。恐らくは「わ」ナンバーを見て旅行者と思ったのか、何か聞かれるが、言葉が聞き取れず、金髪に質問されたと同じリアクションをしてしまう…。
どうも自分は、外人に話し掛けられ外見でパニくるのではなく、言われた言語がわからないと、思考が停止してしまうことが判明。聞き返し、2回目で「どこ」という単語のヒアリングに成功。「名古屋からです」と答えると、次の質問でまた思考停止。こちらもニュアンスで、どこか市内の観光に出掛けていたのか?と聞かれているらしいと認識し、「椎葉村と美郷町です」との返事には、「えらい遠いね」と。レンタカー屋に到着し、泥々の気まずいヴィッツをご返却。熊本空港から、東国原知事のイラストの付いた土産を抱え帰路に着いた。